冬型の気圧配置で北陸も冷え込んできましたが、年末、いかがお過ごしでしょうか。先日、weaveを運営しているEATLABが「おいしい学校」と称して展開している食文化のワークショップでは、EATLABがある石川県の南加賀エリアでこの時期から仕込みだし冬の間楽しまれる「大根寿司」のワークショップを行いました。
最近では家庭で作るお家も少なくなったと聞きますが、石川県の発酵食文化の中で必ずと言っても良いほど登場し、百の家庭があれば百種類の大根寿司ができるとも言われたほどの違いが出る大根寿司。糠漬けと一緒で同じものを作っていても各家庭での好みなどに応じて自然と受け継がれる味が異なるところが発酵食の不思議なところです。
大根寿司を含め、魚と麹を漬け込んで乳酸発酵させたものである熟鮓(なれずし)。金沢〜富山方面でよく食べられるかぶとブリを使ってつくるかぶら寿司や福井や能登などでも仲間と言えるような熟鮓の一種は存在しますが、魚を保存するために生まれた寿司のルーツでもあるこの熟鮓の知恵はまさに、冬の間も湿度が高い北陸らしい食べものだと思うのです。
そこで今回の #季節事 では、大根寿司の味の違いのポイントとなる工程を解説しつつ、元旦に食べられるように大根寿司を仕込み、お裾分けをしたいと思います。元旦にちなみ、玄米麹で仕込むタイプ(紅)と白米麹で仕込むタイプ(白)を紅白に見立てた食べ比べセットも用意しました。ワークショップのときには気になっていても来られなかった方も、この機会にぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
KISETSUGOTOプロジェクト(#季節事)
ライフスタイルメディア『weave』と食文化のオープンスペース『EATLAB』が連動し、季節毎の手しごとをシェアするプロジェクトです。本WEBメディアでは連載形式の季節のレシピを掲載し、EATLABでは実際にテイクアウトを行っています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
“下準備”で無限通りの大根寿司
基本的に、魚は身欠き鰊を使うことが多いですが、鰤や鯖でも見かける大根寿司。魚の種類だけではなく、実は各家庭によって異なる味の秘密が下準備にありました。
大根の下準備
ワークショップでは、使える時間の都合上、準備された甘麹や大根と身欠き鰊を合わせていく作業をメインで行いましたが、肝心なのは下準備。一番はじめに行うのは、大根寿司をつくる3日前にはじめる、大根の下漬けです。ザク切りにした大根に塩をしてお漬物のように重石をかけて寝かせます。このときの塩加減が大根寿司のさっぱり感に影響します。
甘麹の下準備
甘麹の下準備は前日に麹をわかすところから行います。
うるち米ともち米を洗い、炊き上げ、麹とみりんを合わせてひと晩保温することで甘酒のもとをつくるのですが、このとき、うるち米が多ければすっきりとした味わいに、もち米が多ければふくよかな甘みある味わいになります。この違いが家庭によってもかなり大きく、甘ったるかったりさっぱりとしていたり。さらに今回のように玄米麹でつくるか白米麹で作るかでも微妙に味わいも違うし色味も違うと与える印象も変わってくるので、食べ比べるのもまた面白いものです。
こんな風に、入れる魚の違いもさることながら、甘麹や大根の下準備加減で無限通りの味わいになる大根寿司。家庭でつくるところまでできなくても、その違いを知って色々と食べてくらべてみると楽しいのではないでしょうか。
【OUT OF STOCK】「元旦に食べるための、大根寿司」|#季節事 のお裾分け
12月の#季節事 は EATLAB でのワークショップでも大好評だった『大根寿司』です。お裾分け日は12月26日(土)。お受け取り方法は、EATLABにて直接お受け取りいただくか、宅配便にてお受け取りいただくかの2通りです。冷蔵保存で1週間ほどお召し上がりいただけますのでぜひお正月に…(続きを読む)