いつのまにやら季節はすっかり秋。大土のお家の囲炉裏にも火が入り、冷え込むことが多くなってきました。
秋といえば「読書」に「スポーツ」、「芸術」……などなどたくさんの楽しみがありますが、くいいじでは誰にも負けないわたしにとってはやっぱり「食欲の秋」!
お山では秋ナスやじゃがいも、さつまいも、大豆などなど。さまざまな実りを迎えています。
じつは、今回は稲刈りについて取り上げたかったのですが、今年は例年より何週間か遅れた発育状況だそうで、食べられるようになるには11月近くになるとのこと。
ということで、新米のおいしさは次回お伝えするということで!
本記事では「栗しごと」と私の「お料理の先生」についてご紹介します。
金沢に暮らしながら平日は大学に、週末は加賀市の大土町に通っている“ましろ”が、大土で体験する貴重な暮らしをお届けする連載です。山中温泉最奥の地にある大土町の暮らしや季節の営みを、外から目線で切り取ってお伝えしていきます。
(自己紹介や大土町について詳しくはこちらの記事をご覧ください)
秋はやっぱり、栗しごと
大土には 4 本ほどの栗の木があり、 9 月の中頃から少しずつ栗の実が「いが」とともに地面に落ちてきます。
「いが」からぽろりと出てきている栗の実もありますが、完全にくるまれているものは足でふみふみしながら中身を取り出します。
毎朝ボウルいっぱいの量の実が落ちてくるので、どうやって使おうか悩みもの。
栗ご飯に茶巾絞り、ポタージュスープにもしてみましたが、甘党の私の 1 番のお気に入りは「渋皮煮」。
渋皮を残して丁寧に鬼皮をむいて、重曹を使って何度も茹でこぼして、たっぷりのお砂糖でコトコトと炊いていきます。
渋皮の木目が美しい、シンプルで繊細なお茶請けです。
たっぷりの砂糖を使っているので、食べ過ぎたらだめだと思いつつ、ついつい手が伸びてしまいます。
私の渋皮煮のレシピは、元大土町の住民で、今は週末ごとに大土に通い、荏胡麻やフジバカマのお世話をしていらっしゃるおばちゃんに教えていただいたもの。
わたしとは大土にお手伝いに行くたびに顔を合わせているからか、いまでは一緒にお茶会をしたりヨモギ団子を作ったりする仲になりました。
普段は実家から離れて一人暮らしをしている私にとって彼女は、人生の大先輩でありお山暮らしの先生でもあります。
そんな先生に仕上がった渋皮煮を瓶詰めして試食してもらったところ、フィードバックとともに、おばちゃんお手製の浅漬やヨモギ団子などをたくさんいただきました!
携帯ひとつですぐにレシピを調べることはできますが、「受け継がれていく地域の味」は調べても出てこない格別な味わい!
つぎに渋皮煮を作るときには、ラム酒を入れてみようかな……。
おばちゃんの頭のなかには、暮らしの中で生まれて作られてきたレシピがたくさん。
お話するたびに
「いまの季節はいちじくの若いのが取れるからシロップ煮にしたらおいしいのよ〜」
「わらびは炊いてからお酢と和えて……」などなど、お料理の知恵が溢れてきます。
たくさん教わるのでいつかまとめて、大土に来るいろんな人達とシェアできたらいいな。