神奈川県川崎市のザ・住宅街出身のわたしですが、小さい頃からこの時期になると家の中は梅の香りに包まれていました。ほぼ日本全国、あいにくのお天気が続く梅雨のシーズンは、なかなか外に出て存分に遊んだりしごとをすることができないので、特に北陸だからという地域性ではないかもしれませんが、一年の降水日が多い地域だからこそ、晴耕雨読なライフスタイルの達人だと思っているこの地域の人からは、梅雨時期を楽しむヒントをもらえている気がしています。
今回は、石川県に移住して3年目となるわたしがしている梅雨時のおうちごとについて。
「地域の食文化を楽しむ暮らし」を提案する weave は、暮らしに根ざした食文化が今もなお色濃く残る石川県小松市を拠点に発信しているのですが、そんな小松の季節の味わいや暮らしの工夫で食文化を楽しむライフスタイルを、weave の編集長をしています瀬尾裕樹子(せのおゆきこ)が移住者だからこその目線で切り取り、この連載を通じてお届けしています。
家じゅうが清涼感ある香りに包まれる、山椒しごと
梅雨のしごとといえば、梅の雨と書くくらいですからまず最初に思いつくのは「梅しごと」かもしれませんが、6月に入ってまず先にしたいのが「山椒しごと」。
どちらかと言うと梅しごとよりはマイナーなのか、何に使うの?と聞かれることもしばしば。
枝や茎、葉っぱのついたままの山椒を採ってきて、ひとつひとつ丁寧に実を外し、さっと1分ほど茹でて水を切り、20%ほどの塩をあえて瓶詰めすれば和製ケッパーとして1年ほどは楽しめます。煮魚に添えたり、肉そぼろに入れたり、しらすと一緒にパスタにしたり。家に山椒ストックがあれば使いたいときに使いたい分だけ使える。
買えばとってもお高いちりめん山椒も、自分で作ればこれでもかと言うほど山椒をたっぷり入れることができます。
何より、作業中、ずっと家の中が柑橘とミントを混ぜ合わせたようなスーッとする爽やかな香りに包まれるのが大好き。梅雨時でも清々しいしごとです。
みんな大好き!?梅しごと
子供の頃から「梅干しババア」と呼ばれるほど梅が大好きな子供でした。上顎がザラザラするほど梅を食べすぎて母に個数制限をされていたほど。
周りの友達の中には強烈な酸味が苦手な人も多くいたようにも思いましたが、最近ではinstagramなどを見ていると、「#梅しごと」も人気の様子。特に少ない量であれば簡単にできる梅ジュースはよく作られているみたいですね。
我が家でも毎年仕込んでいます、梅ジュース。
関東の夏も蒸し蒸しした夏ですが、それ以上にわたしの身体にこたえている北陸の夏。
80%にも90%にもなるような湿気を乗り切るには必須のドリンクになっています。
こうやって書いてみると、外は雨が降りやすいからおうちでやるしごとを、というイメージで梅しごとや山椒しごとをやっていたわけですが、結果的に清々しい香りやさっぱりとする酸味に癒され、それが逆にこの梅雨を乗り切るための作業にもなっているのかもしれません。
全国津々浦々、どこも湿気で蒸し蒸ししている季節。
皆さんも一緒に梅雨のおうちごとで癒されませんか。
※人の野山に勝手に入ることは不法侵入です。山に入るときは持ち主の許可を経てから。